日本の祭りレポート
かくのだてのおまつり
この祭りはお囃子、曳山、踊りすべてが佐竹北家のお殿様である敬久氏のご上覧に浴されるもので、風流(ふりゅう)を極める陸奥の華。祭りのハイライトは「ヤマぶっつけ」です。山車同士が町なかで出くわすと、双方の交渉員が地べたに座って提灯を脇に置き、「道を譲れ」の交渉を行います。でも決して“道を譲れ”とは言いません。お互いが相手を尊重して“ヤマを寄せる力量をみせてください”といたって謙虚。その交渉は延々数時間にわたって行われます。そして、必ず決裂し「ヤマぶっつけ」に。衝撃は地面をゆすり、ヤマはせり上がり、秋田おばこがしがみつき、囃子はますます活発。囃子を中断した瞬間にヤマは「死に体」となるのです。
【取材・文:苦田秀雄】