日本の祭りレポート
いわくにゆかばのかんまい
この神楽の足運びは地霊を鎮めるすり足の「反閇(へんばい)」が中心です。最も人気のある座は「八関(はっせき)」の「松登り神事」。白装束の若者が荒神になって高さ25メートルの柱松に登り、日・月・星を意味する頂上の三光を破って光を取り入れ、松の小枝を地上に投げ落とすのです。その小枝を拾った人はその年の無病息災が約束されるとか。最後に荒神は綱を伝って地上に降りてきます。それは45戸の行波集落全員で縄を編み、より合わせて出来上がった綱。これこそが本当の「絆」ではないでしょうか。神楽は15時間にわたって行われます。踊り手の表情はすっかり神憑り。そこは220年前の所作が正確に残され、民俗学的に貴重なものです。
【取材・文:苦田秀雄】
国の重要無形民俗文化財「岩国行波の神舞」では、式年祭として7年に一度、錦川の河川敷に神殿を組み、十二座の舞が奉納されます。八関の舞の「松登り」という神事では、白装束に白鉢巻姿の「荒神」が約25mの松の頂上まで登り、木の上に祀ってある三光を燃やし、縄を伝って降ります。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り