日本の祭りレポート
いそだけのぐろ
これは小正月に浜に「グロ」という円錐形の大きな仮屋を作り、「歳徳神」を迎えて豊漁や無病息災を祈る行事です。祭りの5日間、地区の老若男女は入れ替わり立ち替わりここを訪れ、中に設けられた囲炉裏端で餅などを焼いて食べ、語りあいます。「グロ」の形はモンゴルの「ゲル」や中国の「パオ」と似ています。「五十猛のグロ」は正月に船などに飾った竹や笹、松などで作られ、祭りが終われば解体されてどんど焼きとなります。それは全国にある小正月のとんど焼きの変形か。1月14日の夜には神送りの神事があり、1年間の豊漁と無病息災を祈った後、鏡餅を焼いて皆で食べる習わし。そこには懐かしい昭和のにおいがありました。
【取材・文:苦田秀雄】
島根県大田市五十猛町(いそたけちょう)の大浦(おおうら)に伝承される小正月の行事です。グロと呼ばれる円錐形の大きな仮屋(かりや)を浜辺に作って歳徳神(としとくじん)を迎え、その年の豊漁や無病息災を祈願し、最後に正月飾りとともに仮屋を焼き払う行事で、1月11〜15日までの5日間にわたって行われます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り