日本の祭りレポート
いしざきほうとうさい
能登の祭りに共通するのは大型の灯籠「キリコ」です。七尾市石崎町には西1区、西2区、西3区、東1区、東2区、東3区、東4区があり、6基の奉燈が街を練ります。運営は青年団で、トップの支部長は笛ひとつで運行の指揮をとり、それに呼応して太鼓打ちがド ドン ド ドンドン。それは踊るような、エビが跳ねるような、なんとも粋のいい打ち方。浴衣姿の子どもたちが奉燈の上で笛を吹きます。鉦を打ちます。その瞬間、“いやさかさっさ さかさっさい いやさかさー”の掛け声で100人ばかりの逞しい石崎男が巨大奉燈を担ぎあげます。そして進むのです。整然とした流れ、緊迫感、これはもうたまらない美。
【取材・文:苦田秀雄】
漁師町石崎の氏神・八幡神社の納涼祭。大漁祈願はもとより、度重なる大火を恐れ鎮める神事としたた“奉燈”。高さ12メートル、重さ2トンに及ぶ七基の奉燈には武者や海にちなんだ絵が描かれます。ねじり鉢巻が勇ましい100人もの海の男たちによって担がれ、「イヤサカサー…」の掛け声とともに港町を乱舞します。