日本の祭りレポート
いこうおすわさま
この祭りは20人ほどの若衆が塙町伊香集落のおよそ120軒の家の中を駆け抜けるという奇祭。ある家で彼らの到来を待っていれば、遠くから“わっしょい わっしょい”の掛け声。それはだんだん大きくなり、突然「若組」と書かれた提灯を片手にした集団が縁側から家のなかに駆けあがり、一気に玄関から走り去ってゆきました。それはあたかも連結の貨物列車が家の中を走り抜けたようで非日常。“わっしょい わっしょい”は次第に小さくなり、畳に残されたのは神様たちの足跡。こうして神様ご一行は夜遅くまで伊香の家々を駆け抜けるのです。家人はその足跡をひと晩そのままにしておきます。すると家に福が舞い込むのです。
福島県塙町伊香・古宿地区で100年以上続くと言われている、無病息災祈願の奇祭。地元の諏訪神社のお仮屋で身を清めた若者たちが、この地域に約120世帯ある家々のほとんどを土足で走り回り、足跡を残していきます。若者たちが駆け抜け、汚した場所は“神様が通った場所”とされ、一晩そのままにしておくとご利益があると言われています。