日本の祭りレポート
ほうぜまつり
「放生祭」とは、捕獲した魚や鳥獣を野に放し、殺生を戒める「放生会(ほうじょうえ)」の宗教行事であり、京都府八幡市の石清水(いわしみず)八幡宮で貞観4年(862)に始められたものです。祭りの棒振りは頭に獅子の被り物をつけ、衣装や動作もユニーク。これは川越藩主酒井忠勝が小浜藩に国替えされたとき、故郷を偲んで川越から「ささら獅子」を呼び寄せたもの。また、衣装や色彩などは日本古来のものではなく、西ヨーロッパの影響も受けているのではないかと思われるばかりの風体。小浜は北前船の要港で、都文化を海路で全国に発信する港でもあったのです。精緻な山車、そして雅なお囃子。これは地域のゆとりと文化混交の魅力を燦然と放つ祭りです。
【取材・文:苦田秀雄】