日本の祭りレポート
ひのえまたかぶき
ここは福島県から尾瀬への玄関口。かつてこの村は貧しく、伊勢詣をするにも皆がお金を蓄え、代表者1人が代参するのがならわしだったとか。その代参者が帰途江戸に立ち寄り歌舞伎を見物し、村に帰って見よう見まねで始めたのがこの農村歌舞伎です。「檜枝岐歌舞伎」の鉄則はかつて村人がつくった所作を絶対にくずさないこと。例えば役者が花道に引っ込む際の「六方」という所作についてもプロの役者は日本舞踊のような洗練された所作をするのですが、檜枝岐では荒削りであえて武勇の勇ましさをみせるのだとか。この一徹さがここの歌舞伎の魅力といえましょう。歌舞伎は「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」に始まり、次々と演じられてゆきます。
尾瀬の入口として知られる奥会津の檜枝岐村に江戸時代から伝わる農民芸能で、春と秋の年2回、祭りのときに奉納されます。演じる役者から舞台を作る裏方まで、一座はすべて村の一般の人たちで、稽古を重ね演目を仕上げていきます。歌舞伎が演じられる舞台は鎮守神の境内にあり、国の重要有形民俗文化財となっています。