日本の祭りレポート
ながはまひきやままつり
近江長浜城主だった羽柴秀吉はなかなか子宝に恵まれませんでした。やっと誕生した長男を祝い、町民たちは山車をつくってこの祭りを始めたとか。山車の上で歌舞伎を演じるのは5歳から12歳までの小学生。山車は歌舞伎を演じてはじめて動く美術館となるのです。歌舞伎は13基の山車のうち、長刀山を除く4基が毎年交代で演じるきまり。為政はしばしば風紀を乱すということで全国的に素人歌舞伎を禁じてきましたが、江戸初期に始まったこの歌舞伎は秀吉の男児誕生祝という大名目があり、大切に伝承されました。ゆえにこれは子供が主役になる祭り。そしてそれを長浜の大人が優しくバックアップしているのです。
【取材・文:苦田秀雄】