日本の祭りレポート
さがみにんぎょうしばい はやしざ
相模湾から相模川に入り十数㎞ほど内陸にのぼったところに位置する厚木は、江戸時代から海運の拠点、舟運の中継地。全国各地から様々な文化が持ち込まれ、その中で上方から伝わった人形浄瑠璃が娯楽として定着しました。人びとにとって人形芝居は大きな楽しみであり、今では考えにくいですが昔は若者の憧れの的でもあったようです。他方、厚木市林地区の林神社は千年以上の歴史を誇る古社。その例大祭で奉納され受け継がれてきたのが「林座」です。相模人形芝居はいま五座で継承されており、そのひとつという訳です。三人がかりで人形一体を操るため、上演には多くの人手を要するのですが、こうした古典芸能に共通することとして後継者不足が立ちはだかります。そのためにもまずは多くの方々に関心をもって観劇に訪れてほしいものです。
取材・文:加藤正明
相模人形芝居林座は、江戸時代中期に始まったと伝えられ、大阪の人形師・吉田朝右衛門が指導していたとも言われています。林座の人形は三人遣いで、操り方が鉄砲を打つ構えに似ていることから「鉄砲差し」と呼ばれ操法を継承しています。毎年、林神社例大祭での奉納公演をはじめ、未来へ繋ぐ伝承活動も行なっています。 (国指定重要無形民俗文化財)
※出典:ダイドーグループ日本の祭り