日本の祭りレポート
ふじきりまつり
「藤切り祭」は奥秩父の金峰山(2,599メートル)に出没し、里人を苦しめた大蛇を退治したという故事に由来します。
祭りは稚児行列に始まり、修験者たちの剣の舞い「ハッポウキリハライ」、「笈(おい)渡しの儀」、鬼門の方向に矢を放つ「法弓」など、粛々と一連の修験道作法が行われます。ご神木には大蛇が巻きついています。それは藁で作られ、舌と2本の角のあるもの。修験者が木に登ってゆき、鉈(なた)でご神木の大蛇を切りました。神木の下では里人らが切れ端を奪いあいます。殴りあい、押しあい、くんずほぐれつ。それもこの祭りの一環なのです。切れ端は魔除けになるとか。長閑(のどか)な里になんとも激しい祭りがあるものです。
【取材・文:苦田秀雄】