日本の祭りレポート
ふじきどうそじんまつり
これは地域に厄災が入ってくるのを防ぐ道祖神の祭りです。塩山藤木3地区の若者が大太鼓に乗って歌舞伎を演じるのです。この祭りの由来は江戸時代初期、地域で結婚や出産、出世などがあると太鼓や鐘を鳴らしながら地区内を回るという風習がありました。それはその後2人1組で各家庭を回り、芸を演じる「門付け」へと変化。それが太鼓乗り歌舞伎の起源です。外題は「白波五人男」、「絵本太閤記」など20もの演目があります。その演技は地芝居の素朴な風情。そこには煮詰まった人間関係のなかで練習し、演じる温もりがあります。失敗しても地域の温かい声援が演者を後押しします。誰もがこの不思議な光景を忘れることはないでしょう。
【取材・文:苦田秀雄】
藤木地区において小正月行事として受け継がれてきた、藤木道祖神祭り。三基の太鼓が集まり、どんどん焼きの火を中心に大太鼓の上の役者が、太鼓や鉦(かね)に合わせて歌舞伎の名場面を掛け合いにより演じます。どんどん焼きの明かりに映しだされた太鼓乗りの妙技は、素朴な中にも豪快さにあふれた民俗芸能です。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り