日本の祭りレポート
えんしゅう もりのまつり
太鼓と笛と鉦の囃子が小気味よく、14基の屋台は縦横無尽に町を練ります。ひょっとこが踊り、獅子が舞い、各町の若頭は胸に「社長」のタスキをかけ、遠州の小京都といわれる粋な森の町にこの風体は似合います。感動的なのは舞児還しです。各町氏子代表の家から選ばれた女児は舞児として3日間神に奉仕。最終日の夜、彼女たちは屋台に乗せられてそれぞれの町内に帰り、「社長」に担がれて親元に帰されます。両親を中心に家族全員が正座して少女を迎え、双方が感謝の口上を述べ、儀式は終わります。この一連の流れはなぜか感動的で、美しく、そして緊張。ここの太鼓は感情を表現します。そして誰もがいなせでカッコいいのです。
【取材・文:苦田秀雄】
遠州の秋祭りの最後を飾る「森のまつり」は、華麗な彫刻をほどこした14台の屋台の勇壮な引き回しや「喧嘩祭り」ともいわれる屋台間での若者同士の激しい練りが魅力です。最終日に神社に奉仕した舞児を各町内まで送る神事「舞児還し(まいこがえし)」は、毎年、多くの見物客で賑わい、いなせに屋台を引き回す光景は、他の祭りにはない圧倒的な迫力を感じます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り