日本の祭りレポート
だざいふてんまんぐうじんこうしきたいさい
延喜3年、右大臣だった菅原道真公は左大臣藤原時平に無実の罪をかぶされ、筑紫に流刑。かぞえ59歳で客死します。この祭りは道真公の霊がそのとき自分を世話してくれた浄妙尼に感謝の意をこめて年に1回出向くもの。道真公をまつる太宰府天満宮から浄妙尼をまつる浄妙尼社(榎社)までの神幸は1000年にわたって行われている平安絵巻。これは道真公直系の子孫の西高辻宮司・権宮司親子、同じく浄妙尼の子孫の権藤氏、往時から倭舞を伝承している渡邉家の女性たち、慰霊の廟を建立した道真公の門弟である味酒安行(うまさけのやすゆき)の子孫味酒氏など、往時の主役たちの子孫が祭りの中心人物として斎行。すべてが本物であるがゆえの重量感が胸を打ちます。
【取材・文:苦田秀雄】
年間約700万人もの観光客が訪れる福岡県の太宰府天満宮。この地で没した学問の神様、菅原道真公を祀るこの神社最大の祭りが秋の神幸式大祭です。道真公の御神慮を慰め、五穀豊穣に感謝するこの祭りでは、平安時代の衣装に身を包んだ約500人の氏子たちに守られながら道真公の御神霊をのせた神輿がかつて暮らした榎社まで下り、また太宰府天満宮まで上ります。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り