日本の祭りレポート
びくにじんじゃれいたいさい てんぐのひわたり てんぐのひわたり
北海道、積丹半島の美国。そこは小樽の西の港町。神幸の先頭は赤い衣の天狗様と神様の道案内役の猿田彦。天狗は1本歯、高さ20センチの下駄をはき、大手を振ってわっさ、わっさと歩いてきます。行列は街を回って神社に還御。地域をくまなく歩いた天狗様は穢れや罪、厄災をわが身に集め、神社に戻ってそれを焼きつくすのです。カンナくずに火が入れられ、それは一気に高い炎となり、天狗様は手をひかれて炎のなかへ。炎を背負っています。くぐりぬけました。その姿キリストの贖罪か。天狗様は単に威張っているのではありませんでした。それは故郷美国の厄災を払う大役への自負だったのです。
【取材・文:苦田秀雄】
天狗(猿田彦)や神輿が燃えたぎる炎の中を勇壮に渡り、穢れを払う「火渡り」は、5日、6日の夜に境内で行われます。
暗闇の中、灯された火は幻想的であり、挑戦的です。この神事の起源は定かではありませんが100年以上続いていると言われています。期間中、大漁と海の安全を願う海上渡御の他、女神輿を先頭に海で身を清める海中神輿も行われます。