日本の祭りレポート
あやべじんじゃのふうじんさい
7月15日、3人の旗揚げ人によって綾部神社境内の銀杏(いちょう)の御神木の天辺(てっぺん)に真竹が立てられ、神旗が縛られます。「旗揚げ神事」です。その日以降、宮司が毎日午前6時と午後6時に旗の様子を記帳。旗は72日後の9月24日に降ろされます。「旗降し神事」です。宮司観察による毎日の天気予報は、神旗が右に垂れ下がった場合は「雨」、左に垂れ下がった場合は「風」、左に強く巻きあがった場合は「台風」、「俵(かまぎ)巻」は「豊年の兆」という決まり。ある日の宮司の記録。「9月22日曇り 西の風・西南の風 神旗正常 昼過ぎて雨と雷 夕刻4時頃には止む 1時間ばかりなり」。天気を通じての吉凶・豊穣占いです。展示してある過去の旗をみれば昭和20年(1945)だけがボロボロ。人々は敗戦を感じるも口外がはばかられたとか。
【取材・文:苦田秀雄】
「風の神様」を祀る(まつる)神社として、日本最古の気象台といわれています。「旗上げ神事」では、地元の男衆が身を清め、締め込み姿で高さ約25m樹齢600年の銀杏の木に登り、幅一尺長さ一尺ニ寸の麻の神旗を真竹の先に結わえ、地上30mで旗がなびくように取り付けます。「旗降し神事」まで旗の巻き具合で、風雨の襲来や農作物の豊凶を占います。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り