日本の祭りレポート
あきばまつり
残雪残る早春の山沿いを霧の窪、本村、沢渡(さわたり)の三地区が「トントンチキチ トンチキチ」と音曲を鳴らしながら岩屋神社に集結。そしてお旅所の市川家で神霊を迎え、先悪魔(さきあくま)が先導する「オナバレ(練り)」の行列が法泉寺、中越家を経由して急な山肌を縫って秋葉神社へと還御します。その衣装には全国各地の祭り装束の要素がみられます。それはかつてこの村の分限者(ぶげんしゃ)が都会でみたものを取り入れたということ。練りの最大の見せ場は「鳥毛(とりげ)ひねり」です。鮮やかな火事装束の若者が舞いながら「鳥毛」を投げあう様はまさに早春の夢。それは火の神を祀る秋葉神社の祭りならではのもの。標高1000メートルの山懐に繰り広げられる雅な祭りはマニアをも虜にする不思議な魅力を放ちます。
【取材・文:苦田秀雄】
先払いの鼻高面を先頭に、笛、太鼓、鉦の囃子で、約3kmの山径を、火産霊命(ホブスビノミコト)を運ぶ御輿と共に総勢200人で練り歩きます。火事装束の若者が、鳥毛のついた長さ約7mのさおを投げ、相方の若者が受け止める力技の鳥毛ひねりや、中太刀、小太刀による太刀踊りが道中各所で行われ、観客を魅了します。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り